現代のクルマでは4輪の各ホイールの回転速度(車輪速)とクルマの速度(車速)を
別々のパラメータとして扱っています。

車輪速信号はABSの進化とともに制御パラメータとして取り扱うことになって来ました。
4輪のホイールの回転数をそれぞれ計測してABSの作動条件を導いています。
各ホイールの回転数をモニタして比較することで、1輪だけがスリップまたはロックしているとか、
各ホイールの回転数のズレから空気圧のバラつきを検出する。
最新の制御では横滑り時のスライド制御(DSC)や旋回時の安定性の向上(GVC、KPC)等に応用されています。

最新ではDSC-TRACKなんていう、そそられる制御の研究もおこなわれているようです。

FD3S 1型ABSユニット

4センサ、3チャンネル方式
4輪にセンサがありますが、
前輪は左右独立、後輪は左右同じ制御タイプ

FD3S 6型ABSユニット

BOSCH製 EBD付
制動力の配分もコントロールしています。

車速信号はクルマの制御をコンピュータで行う時代からパラメータの一つとして取得され
「1km走行ごとにメータワイヤは637回転する」というのがJIS規格です。
そこから回転パルスを生成してコンピュータに入力され色々な演算に使われています。

車速信号については、
FC3Sでは車速感応式パワーステアリング、
FD3Sではもっと進化させて回転数と車速からギアを判別して、
ギア毎にブーストマップを作っておいて
ゲインを切り替えオーバーシュートしない様に、また素早くブーストが立ち上がるように
最新のブーストコントローラーと同様の制御も出来るようになりました。
逆に言えば車速信号が入ってこないと正確な制御ができないということです。

第6世代以降のマツダ車では
エンジン制御はもちろんマツダコネクト搭載車では、
ナビゲーションの位置情報の補助にも使われています。

また、走行中を判別してテレビの画像を出すとか出さないとかの判別にも利用されています。

ここからが重要です。
この最新のクルマにTVキャンセラー等の車速信号を誤魔化して
走行中にもかかわらずサイドブレーキONで車速が「ゼロ」という疑似信号を
送り込んでしまおうという類の商品を安易に取付けてしまって・・・

クルマのコンピュータからすれば・・・仮に30キロで走行中に
「お~いマツコネ~車速何キロ~」って問い合わせると「ゼロですよ~」って返事が来ているのに、
「お~いABS、後輪の車輪速何キロ~」って問い合わせると「左後ろ30キロで右は29キロです」とかの返事がくれば、
普通でいうと「ホイルスピンしてるじゃん、スロットルにアクセル閉じろ~って命令出せ~」
それでも車輪速が下がらなければ、「このありえない状況はなんか壊れたからセーフモード発令!」と
なるとかならないとか・・・

先日、2日連荘でTVキャンセラー付きのクルマのカーボンクリーニング時に
バックカメラや360°VIEWが起動しなくなるトラブルがありました。
結果としては再起動できて、正常復帰しました。

その次に来た3台目のときは、事前の問診でTVキャンセラー付きとの申告がありましたので、
再起動時のエラーを回避する方法も発見して、特定のメーカーのTVキャンセラーについては、
その取扱い方法が見えてきた感じです。

しかし、CX-60や横長の新世代マツダコネクト付きの新しいCX-5、CX-8については、
ありとあらゆるクルマの情報がこのコネクティングユニットに接続されていますので、
余計なものを割り込ませると、上に書いたように「車輪は回っているのに、車速が出ていない」というような
異常な?データの入力にクルマの制御がどうなるか・・・ということを考えないといけません。

安全の為にパフォーマンスを下げて運航することになるかもしれませんよ~よくお考え下さい。