いつも、修理しているFC3SやFD3Sは
クランクアングルセンサーからの
G信号とNe信号をPCM(ECU)に送って、
各種の補正をした後に
所定のタイミングで点火信号が
イグナイターに送られます。

入力のパラメーターはG信号、Ne信号以外に
FC3Sの場合は右の表のようになっていて、
色々な走行状態をあらかじめ想定して、
進角したり、遅角させたりしています。

FC3Sに関してはクランクアングルセンサーで
点火時期の調整が出来ますが、
FD3Sになると手動で調整するところは無く
完全にPCMで管理されています。

昔の車は、点火タイミングを拾うのに、
ポイント式、セミトラ式がメジャーどころで、
ロータリーエンジンでもSA22Cあたりは
ポイント式だったんじゃないかな?

僕がバイクや車に乗り出した昭和60年代は、
FC3Sが新登場した時代なので、
手に入りそうな中古の車と言えば
日産のL型やA型、Z型(ツインプラグ)
トヨタは2TGやKPが積んでた4Kだったかな
まあ、そんな弄りがいのあるエンジンが
ゴロゴロしていた時代で、
当然点火はポイント式か
セミトラ→フルトラへの過渡期だったのか?

マツダでもファミリアがフルトラになった時代らしい。

当時の車は
「デストリビューター」通称「デスビ」という
点火コイルからの高電圧を、各気筒へ振り分ける
部品があって、4気筒ならここからプラグコードが
4本生えていることになります。

FC3Sのクランクアングルセンサーと同じ原理で
クランク角を拾ってどのシリンダへ火を飛ばすかを
コントロールしています。

この名残で、昭和の整備士は今でも現場では、
「クランクアングルセンサー」とは言わず、
「おい、デスビ回してみよか~」で通じます。

(画像は拾いものです)

その頃、ガソリンの宣伝でしきりに「ハイオク」と
いう言葉を聞き出して、
フォーミュラーなんとかとか、
ダッシュレーサーなんとかとか、
入れるだけで早くなりそうな響きなんですが、
さらに悪友が仕入れてきた情報によると
「デスビ」を回して点火時期を変えると
もっと速くなるらしい…

そんな、悪友はどんくらいデスビを回したら
パワーがでるかは目分量で、
回したことによる、
「俺のエンジンはハイオク仕様だぜ~」っていう
他にはないチューニングっぽい響きに
あこがれたものです。
当然、回しすぎて調子はイマイチなのですがwww

最近になって、各社のハイオクがバーター取引で
ごちゃ混ぜになって販売されていたとの報道ですが、
昔、風説の流布でJOMOのハイオクがパワーが出るとか、
(すでに統廃合でJOMOはなくなりました)
そんな話もありましたwww

最初のころのロータリーエンジンは
デスビがL側とT側で2個ついてます。

Photo by かみやん

現在のECOCPUでは、
各センサーからの情報により的確に進角させたり近くさせたり正確に点火時期をコントロールしています。
ガソリンはハイオク一択なのでレギュラーは使わないでくださいね。

じゃあ、デスビの時代は点火時期は固定だったのかというと、
昔の人は頭が良かったとういか、色々工夫してあって、
先ずは、回転数が上がると遠心ガバナーという簡単に言うとデスビの中の接点が遠心力で変位して
高回転で進角させるという機構が内蔵されています。
また、インマニの負圧をデスビに引き込んで急加速時にマニの負圧が大きくなると、この負圧により
進角させるバキューム進角などの機構も盛り込まれています。

今日もうちの社長やらサービスセンターの照井氏やらと昔話していたら、
みんな同じことして遊んでいたということが発覚して、
やっぱりクランクアングルセンサーでなく、「デスビ」ということで、一致しました(苦笑)