前にも”ちらり”と書きましたが、みなさんのRX-7のブレーキは健全でしょうか?

先日、有馬メカが自分のクルマのサイドブレーキがかねてより
引きずって(正常にリリースできない状態)いるのでオーバーホールしたいと…
なんかめんどくさそうなこと言い出しました。

僕も自分のクルマのブレーキを10年くらい前に17インチ化した際に、
購入した中古キャリパーを全部分解してOHしてから組み込んだので、
作業としてはやったはずなのですが、すでに記憶は霧のかなたに霞んでいますので、
復習も兼ねて、ゴリさんとその作業を見守ることにした。

早速、車両から外してきたリアキャリパーは整備士の有馬メカのくるまにしては・・・
チョットアレな感じで、「こいつは長い夜になりそうな嫌な予感」がしました。

先ずは、ピストンを外してみましょう。
FD3SやFC3Sのリアキャリパーは、フットブレーキとサイドブレーキを
同じキャリパーで共有しているので、サイドブレーキの機構をキャリパー内に内蔵しています。

こいつは、ブレーキパッドが摩耗してパッドの厚みが薄くなりピストンが出て行っても、
その出て行った分を自動的に調整してサイドブレーキが一定の状態で効くように調整されます。
ですので、この機構部の動きが悪かったりするとピストンが戻らなくなり
サイドブレーキが効きっぱなしになったり、逆に効かなくなったりと不具合が発生します。

ピストンは切り欠きに工具を掛けて左回りに回すと抜けてきます。
一緒にダストブーツも伸びてきますので、ブーツは引っ張ってピストンから外し
ピストンだけを取り外します。

キャリパーに残ったダストブーツを取り外します。
ブーツは金属のリングで全周を固定されていてこのリングを取り外せば、
外れるはずなんですが…泥か錆かフルードの結晶か訳の分からん汚れが堆積して
リングまで中々たどり着けません、前途多難です。
色々なツールを駆使して堆積物を除去して、リングの先端をつまみ出しリングを取り外します。
その後無事にダストブーツもとりだせました。

無事にピストンが抜けますと内部にスナップリングがありますので、
これを外すと、スピンドルの他細かい部品を抜くことが出来ます。
出てきた順番と向きを間違えない様に並べておきましょう。

あとはOHキットに付属しているOリングや各所のシールを交換して、
再度逆の手順で組み込みます。

細かい部品が多いので順番やら向きを間違えない様に
組み込むことが重要です。

最後はスナップリングを”パチッ!”と入れて一段落です。
サイドブレーキのワイヤーが掛かるレバーを動作させると
スピンドルが出入りすることを確認しましょう。

あとは、ピストンを回転させながら入れていき
ブーツを取り付けてリングで固定すれば完成かな。

おっと!ここでタイムリーなご依頼が・・・

10年前に専門ショップでOHして塗装したキャリパーがフルード漏れを起こしました。
大事なBBSがフルードまみれで、オーナーは血相を変えてご来店。
なんとあなたはラッキーです。
何故かそこには中途半端ながら必要なものが揃っているOHキットがありまして、
昨日の今日なのでこれはダメな失敗するパターンや、もしかしてこうすりゃもっと簡単にできるじゃんという
手抜き(効率的な)手順も確立されてスタッフ一同余裕で自信満々です。

10年間ノーメンテでも、ここまで綺麗な外観を保って立派に仕事をしてきたキャリパーは
さすが専門ショップの仕上げです。
ここでOHすればまた10年は行けるでしょう。

このキャリパーについては、オーナーも交えて現物の状態を確認しながら
作業を行い、いつの間にかだるくなっていたブレーキの効きも回復して、
”ブレーキが効くって幸せ!”と無くして初めてわかる、
大切なものを実感して戴きました。

ちなみに車検ではあえて依頼しなければ、
パッドの残量を見て、フルードをちょっと交換してOKでしょう。
そのくらいのスピードでやらないと、ノルマに達成しないので仕方がないのです。

ご心配な方は、どうぞ遠慮なくご依頼ください。
オーナーの目の前で分解してOHして見せましょう・・・