NP35のエンジンはVRT35というV型12気筒3.5リッターエンジンです。
エンジンの設計は当時日産のエンジニアの林義正氏です。
林氏は退社後どこやらの大学で教鞭をとったり、学生チームでル・マン24時間耐久レースに参戦するなど、かなり個性的な先生です。
色々とエンジン関係の本を執筆されており、僕も2冊ほど著書を持っていて、
”EGRとはなんぞや・・・”とか”ポンピングロスって何?”とか
エンジンというものを理論的にわかりやすく??解説しておられます。
林氏が日産在籍中に最後に携わったのがこのVRT35型エンジンで、
時代が良ければF1にも供給されいたかもしれないエンジンです。
MAZDA767Bが1989年に実践投入されていますが、
NP35はその3年後の1992年の1レースだけ走ったという悲運のクルマです。
残念ながら熟成不足で戦歴はイマイチですが、希少な国産V型12気筒でしょう。
今回鈴鹿で初めて見ましたが、綺麗なクルマで完成度は高いです。
残念ながら767Bは細かい仕上げまで時間が無かったのか、
コクピット周りは少々、切った貼ったのやっつけ仕事みたいなところがありますが、
NP35は細部まで丁寧に造られています。
エンジンも見たところ、綺麗に造られた”タコ足”が目立ちますが、
エンジンの前側がかなり車体中心に搭載されていて、ぱっと見はV10エンジンかと思いましたが、
奥の方に見えないシリンダがありました。
どうしても全長が長くなるので全体の重量バランスを重視のためと思われます。
タコ足にはO2センサーや排気温センサーが取り付けられており、
当然のことながら電子制御でO2フィードバック制御を行っているのでしょう。
対する、MAZDA767Bの13J改は、当時は色々と手の込んだ制御を入れていますが、
噴射量は、エンジン回転数とスロットル開度により吸入空気量を推定して、
その量に合わせた燃料を決め打ちで打つのが基本です。
このため、A/Fのリッチ・リーンを実測してフィードバック制御することはまだできていません。
このあとのR26Bになってから、MAZDAもフィードバック制御を取り入れています。
エンジンの進化で、燃費とパワーを両立させる細かい制御が可能となっています。
今回、運良く鈴鹿でこのレース用のV型12気筒にお目にかかれたのは良かったなぁ~
1次振動、2次振動共に打ち消しあう完全バランスエンジンの形式として
高回転まで甲高く回っているのが印象的でした。
NISMOのスタッフもプロの仕事人でした。
いつも、「4ローター最高!」と思っていますがV型12気筒・・・侮りがたしです。
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