昨日の続きで、合い間みて進めています。

ご要望のありました、エンジンハーネスとエミッションハーネスを交換していきます。
それぞれのハーネスがカチカチで泣けます。
しかも、上級グレードなのでABSのユニットが丁度エミッションハーネスの入り口に
鎮座していて一苦労です。
エンジンハーネスはバッテリーやオルタネーター、セルやミッションのスイッチ等に
及んでいるので、狭いところを潜り抜けていてこれまた、引きずり出すまでが一苦労です。

新旧比較・・・
もちろん艶々の方が新品です。

どうにか、こうにか、ハーネスの交換は無事に終了しました。

今は安静にしています・・・

ということは、ありません。

ちょっと、LCDのドライブとカメラのシャッタースピードの関係で、
イマイチですがダイアグも消えて「OK」の表示になりました。

エンジンを掛けてみましょう・・・

普通にエンジンも始動しました・・・当たり前ですが、
しかし、深夜になりましたので走るのは明日にしましょう。
頭を冷やして、忘れ物が無いかよく考えてみましょう。

一夜明けました。冷間でも問題なくエンジンは始動しました。

入庫時からアイドリングが高く(1000~1100RPM)久々に調整してみるか~って
試運転がてら軽くその辺一周して来て、「さて暖機も終わったわ」と思ったら・・・

どこからともなく現れた社長が・・・
「お~これはサーモが乗っかったままやな~」
「TASもっちょっと下げて、スロセン合わせて~」
あっという間にアイドリング合わせて去っていきました(苦笑)

あとでこのことを、ゴリさんに言ったら

「ワイも、見たかったわ~」って・・・みんな、見たかったんかい!!

そんなこんなで、作業は完了しました。

さて今回の原因は何だったのでしょうか?

メタポンの駆動回路としては、ステッピングモーターが2相になっていて
それぞれにコイルが2個ずつあり、合計4個のコイルが入っています。

これらのコイルは片側が電源に接続されていて、反対側がコンピュータに
接続されていて、いわゆるマイナスコントロールでコントロールされています。

トランジスタによる
半導体スイッチでメタポンを駆動している
図面になっています。

コンピューター内部ではどうなっているかというと、
焼けた素子は東芝のMP4501というチップで、データシートを見てみると・・・

こんな感じです。ダーリントン接続されたトランジスタが4組パッケージされていて
丁度メタポンの制御にピッタリな感じの回路構成です。

焼けた基板をよく見てみると、6番7番ピンがひどいです。
これはGNDのラインですので、やはり

メタポンのコイルが短絡→バッテリー電圧が直接素子に掛かる→メタポンの駆動信号が出る
トランジスタがONする→素子内で電源電圧が短絡する→基板が焼けるまで電流が流れる→
素子が崩壊する・・・

って具合でしょうかね。

EGIのヒューズが飛べば良かったのですが、素子の方が先に飛んだようです。

このあと、フェールセーフで「オイル量を最低にする」という命令は出ていますが、
すでに素子は破壊されて、メタポンも動かないので、どのくらいのオイル噴射量で
固定されていたかはわかりません。

それでは、どうやったら防ぐことができるのでしょう?

予測は無理でしょう30年以上前の部品ですのでいつ壊れても文句言えません。
造った人も、まさか30年も使うとは思わなかったでしょう。
高額な部品ですが、互換品がないので今のうちに交換しましょう。
今日交換すれば、また30年持つかもしれません。

実際は、水が入ったり、錆が出たりして内部が崩壊したのかもしれません。
今回はオーナー様がメタポンを交換していますので、
外した部品がありませんから、想像でしかお答えできません、悪しからず・・・