今回は滅多にないケースかもしれませんが、車が古くなってくると色々出てきます。
FCの場合ですが調子が悪くて、エンジンが吹けないとのことで入庫。
まずはダイアグ見てみます…出ましたメタポン異常です。
ECUはメタポンの異常を検知してフェールセーフが入り、エンジンに負荷が掛かるのを制限しています。
原因はわかりましたので、メタポン交換です。
この時点では新品が用意できなかったので、まともそうな中古部品です。
となってくると…原因はECU本体か?
この時点では中古のメタポンの不良の線も”0”ではありませんが、
ECUなら動作確認済のものがありますので、手っ取り早いから交換。
もう一度ダイアグ見てみるとなんとエラー消えました。
そうなると、原因は30年前のECUです。
さすがにECUも30年経つと壊れますか~でも、いまいち釈然としませんし今後のこともありますので…
蓋を開けてみました。
そうすると、そこには無残にも焦げたプリントパターンと焦げたパワートランジスタかな?
これで、ECUが壊れていたことは確定です。
こんなに満身創痍になりながらも、最低限車を走らせる機能を残していることがさすがに純正ECU。
じゃあ、なんでパワートランジスタ燃えちゃったのかって、経年劣化でしょうか?
もともとついていたメタポンも分解してみましょう。
恐らくは、いきなりECU内のパワートランジスタが焼けたのではなく、メタポンのモーターの動きが悪くなって、駆動するための負荷が増えたことにより、
過剰な電流が流れてパワートランジスタがパンクしたのではないかと思われます。
経年劣化によるパワートランジスタの性能低下もあったのかもしれません。
新しいうちは少々重くても回せたモーターも、劣化してくると力不足で回せなくなったのかもしれません。
このことに気づかずにECUだけ、交換してダイアグが消えたので修理完了とすると、いずれ再発は免れないかもしれません。
今回の様に、車両側の問題でECUが壊れるという可能性があるという結末です。
また、メタポンの様にダイアグエラーを検知すると点火時期や噴射量を固定して、ドライバーがすぐに気づく場合と、
FDのパージバルブの様にエラーが出ていても普通に走れる場合もあります。
後者の場合、今回の様に気づかずに乗っているうちにECUが深刻なダメージを負っていることもあり、
ドライバーがあえてダイアグチェックをしない限り発覚しない可能性も考えられます。
ソレノイドバルブによっては、ショートするか断線するかまでダイアグに出ない場合もあります。
こんなときは、なんとなくエンジンが吹けないとか、燃費が少し悪くなったとか
原因がはっきり見えにくいこともあります。
こういう場合は車両の原因を追及せずに、ショップの勧めでシングルタービン等に仕様変更され
不要になったダメージ付きのECUが中古市場に出てくることも考えられます。
中古ECUの仕様変更もこれまでは条件付きで受けてましたが、
このようにもともとついていた車両の健全性が確定できないと、簡単に受けられない時代が来たのかもしれません。
完璧を期するなら、売り手と買い手が双方とも来店していただいて、お互い動作の確認の上で
セッティング変更というのなら文句ないでしょうけど現実には…
中古ECUを買った人がECUを送ってきて、データ書き換えて始動テストしたらエンジン不調ですとなると
『これ壊れてます~』って簡単に報告できるといいですけど…
中古ECUを購入される方はリスクがあることをお忘れなく。
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