DとLというと、ピンと来たあなたはさすがです。
DruckとLuftの頭文字、DジェトロとLジェトロのことでしょう、業界的には。
どちらもエンジン制御に関して、吸入空気量の算出方法です。
DジェトロはFD3Sに採用されている、吸気管の圧力から流量を計算する方法です。
流量=吸気管の断面積×圧力×・・・・とか、ベルヌーイのなんちゃらで計算できたような・・・
学生の頃は得意分野でしたが、いまでは脳細胞が灰色になってさっぱりです。
Lジェトロはエアフロメーターによって実際の吸気量を測定する方式です。
FC3Sやユーノスコスモに採用されています。
FCの前期型はフラップ式で、ドアみたいな形状のフラップがパタパタして、ドアの空き具合で測定します。
FCの後期やコスモは吸気管内にラグビーボールみたいなスライド部分があり。
このラグビーボールの可動量で吸入量を計測しています。ついでに吸気温センサーも内蔵していて、
エアクリとスロットル前の2カ所で吸気温度を測定しています。
この方式のエアフロメーターは見てびっくりするほどのデカいラグビーボールが、
吸気管内に鎮座していて、いかにも吸気抵抗ですよといわんばかりです。
チューナーから見ると邪魔者以外の何物にも見えないので、
早速撤去されてチューニングコンピュータに交換され
Dジェトロ方式に変更されていることがちょいちょいあります。
エアフロメーターの計測方式はこの機械的に計測する方法から進化して、
トヨタが7Mのソアラとかのエンジンに採用した”光学式カルマン渦計測式”や
ランエボの4G63?の”超音波式カルマン渦計測式”
日産やマツダが採用している”ホットワイヤー式”などの方式があります。
各社一長一短ですが、吸入抵抗を減らすことに注力されています。
Dジェトロの場合、算出される流量はあくまで計算による”予測”なので、
メーカーが定義している算出のパラメーターが狂うと計算結果にズレが生じます。
例えば、ビックスロットル等で吸気管の断面積が変わると当然吸入吸気量が純正値と変わりますので、
データの変更が必要です。
また、吸気温センサーの進化により、インマニ内の吸気温度を測定したところ、
純正のセンサーと最新のセンサーではそのセンシング速度に驚くほどの大きな差があり、
Dジェトロ方式の予測吸入量の計測に大きな差があることが分かりました。
では、この吸気抵抗の少ないDジェトロ方式で、
効率よくエンジンのパワーを稼ぐにはどうすればよいのでしょう。
素人の僕がつべこべ言うより、レースエンジニアの著書から引用すると…
元日産のレースエンジニア 林義正教授の著書より
空気は温度が高くなると膨張して軽くなることはご存じのとおりです。
燃焼に必要な酸素は空気の中に2割くらいか無いので、
大袈裟に言うと膨張したうすい空気を頑張ってタービンで過給するなら、
最初から冷たい空気をかるーく過給してもおんなじくらい”出る”のじゃないかと…
ここに先日来の実験結果を載せてみます。
上がむき出しタイプエアクリ、下が純正エアクリです。
赤線-エンジン出力、茶線-車速、緑-ブースト、黄緑-吸気温度
PCMのデータは同一、エアクリ以外のハードも同一で測定しています。
グラフでは表示の関係上ある程度車速が上がってからの部分を切り抜いています。
データがむき出し用ではないため4,000rpm位でアクセルオフしています。
途中でブーストが上下している部分はわざとアクセルをあおって、
スロットルを開閉して温度変化の様子を見ています。
むき出しエアクリは最初から吸気温が高く、ブーストが掛かり始めるとこの傾向はさらに顕著になります。
対して純正エアクリは吸気温を低く保っています。
スロットルを開けた際にむき出しと比較して冷たい空気が入って来るので、
ブーストの掛かりはじめは吸気温が大きく下がります。
ブースト値は双方とも同じくらいまで上がっていますが、
吸気温度が低ければその分空気の密度が高く、当然酸素の質量も上がってきますので、
エンジンの出力は上がってきます。
おそらくエンジンにおいて吸気温を低く保つということは、
百害あって一利なしの反対で、『百利あって一害なし』ではないでしょうか?
いや、レーシーな吸気音とブローオフの吹き返し音は、こっちの方が上かな~
これは一つの例ですので、いろんな情報を取捨選択して、
自分なりの仕様に仕上げてください。
ここしばらく、会社では毎週エンジン交換してますが、一発壊すと200万以上かかります。
お小遣いは大事に使いましょう~~
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