うちの会社では、煤取り作業後に点検と、
取り損なった煤の一片がバルブに噛み込んだりしないか
確認の為に、スタッフとオーナー様で確認の試走をしています。

先日仕上がったアテンザワゴン2.2Dですが、
僕が担当で試走に行きました。

低回転の自然吸気状態では、トルクもあって普通に走ります。
バイパスに上がって軽くアクセルONすると、いつもなら隣のオーナー様から
「お~~~!、早っ!!」と感嘆の声が聞こえるのですが・・・
この日は違いました・・・というか、「おっそい~」と内心・・・

「どっか、壊れた??」

トルクプロも繋いでいますのでブーストも確認できるのですが、
通常であれば1.6~1.7掛かる最高ブーストのピークホールド値が
しょんぼりの「ゼロ」でした…

本日の最後のお客さまでしたので、全員総出で触ったところ、怪しいところ全部再確認です。

過去の事例では、タービンのバイパスバルブの蓋が脱落していて、
排気ガスがすべてターボチャージャーを迂回してしまう現象が有りましたので、
確認しましたら、そこには普通に正常に蓋が有りました。

もしかして、過去にブーストコントローラーとかつけていて、
配管が純正になっていないのではないか・・・純正でした。

インタークーラーのパイピングに油染みがあり、
ここからブーストが逃げているのに違いない!これか~~~
→タイラップで縛り上げても全くブーストは上がりません。

色々知恵を絞りましたが、原因がつかめず
幸い近所のオーナー様でしたので代車でお帰り戴いて、
更にチェックしますが、もうタービン本体以外に原因が無いくらいまで
追い込まれました。

今まで、SKYACTIVE-D 2.2(SH-VPTS型)のエンジンでは、
あまりブーストトラブルに出会ったことが無いので、
この際、徹底的に仕組みを勉強してみます。

このタービンは大小2個のタービンを切り替えながら走っています。

低回転では主に小タービンがメインで、エンジンの回転数が上がりトルクが必要とPCMが判断すると、
大タービンに過給が橋渡しされます。
大タービンに過給が移行すると小タービンは抵抗になるのでバイパスされるようです。

RX-7のFDのシーケンシャルの場合は、高過給時にはプライマリとセカンダリの両方を稼働させますが、
この辺がSH-VPTSと仕組みが違うところの様です。

タービンの切り替えはマツダお得意の、ソレノイドバルブとアクチュエータ方式ですが、
FDと比較して、その数は少なくなっていてシステム図を見た感じでは
余りトラブルが出そうな部分は見当たらないのですが・・・

結論をいうと、負圧のΦ4ホースが1本パンクしていました…
パンクしたところから負圧が漏れてしまいアクチュエータのコントロールが
出来なくなっている状態でした。

W/GバルブとR/Vバルブが負圧によってコントールされていて、
ノーマルオープンとなっています。
また、各アクチュエータに(Closed by negative Pressure)となっていますので、
「負圧によって閉じる」という解釈です。
負圧が掛かっていない状態では、タービン側の2つのバルブが開いたままとなっていて、
すべての排気ガスはタービンを迂回してしまい全く仕事をしていない状態と
なっていたようです。

見つけたのは杉田メカです。さすがに細かいところに気が付きます。
以降、弊社で作業する場合は少々材料代をご負担いただきますが、
予防的に交換させていただいておりますのでご了承ください・・・続く?