こんにちは!最近は出荷業務などでかなり忙しく、なかなかまとまった記事を書くことができていませんでしたが…
今話題沸騰中のEGR制限プレートにまつわる、ディーゼルエンジンを取り上げてみました。
そもそもEGR制限プレートとは、シンプルに説明すると、
“エンジン内に戻される排ガスの量を減らすことで燃焼効率を高め、PM(煤・カーボン)を減らし、馬力を復活させる” という効果を狙ったアルミプレートです。
仕組みをご存知の方であれば「なるほど」と合点するのですが、この原理を説明するにはまず、ディーゼルエンジンの仕組みを知っておく必要があります。今回は、全く初めての方でも分かりやすく解説をしていきますので、読み終わった頃には「なるほど」とこのプレートのご購入画面に進まれているはずです。
なお、EGRの仕組みをご存知の方は1,2の項目は読み飛ばしてください。
⒈ガソリンエンジンとディーゼルエンジンの違い
まず、一般的なガソリンエンジンは、シリンダー内でピストンにより圧縮された混合気(ガソリンと空気を混ぜたもの)にプラグの火花で着火し燃焼が行われます。この時、ピストンを押し戻す力が原動力となります。
一方ディーゼルエンジンは、着火のためのプラグを持ちません。それでは、どのようにエネルギーを得ているのでしょうか。
空気や液体は圧力を上げると温度が上がる性質を持っています。高圧縮により高温となった空気に、ガソリンに比べて発火点が低い軽油を噴射することで自然着火し、ピストンを押し戻すエネルギーを得るのです。
⒉EGRとは
一方、ディーゼルエンジンはこの特性上とある環境問題が発生します。それが、窒素酸化物(NOx)の発生です。
光化学スモッグの原因にもなるNOxは、本来反応しにくい空気中の窒素と酸素が、高温・高圧にさらされることで反応し発生します。
排気ガスに含まれるNOxは燃焼温度が高いほど発生量が増えます。
そこでこの問題を解決するのがEGR(排気再循環:Exhaust Gas Recirculation)と呼ばれる機構です。これは、排気ガスの一部を再度エンジンに取り込むことで、燃焼室内の空気中の酸素濃度を低くし、燃焼温度を下げることでNOxの発生を抑える効果があります。また、燃焼に使われない余分な酸素量も減るため、根本的な問題である窒素との結合も抑制できます。
⒊カーボン(煤)の問題
しかし、EGRでNOxの排出を抑えることはできましたが、別の問題が発生します。それが、軽油の燃えカスであるPM(煤、カーボン)の発生です。EGR制限プレートはこの問題に着目した製品ですが、なぜこのプレートが有効なのか、一つずつ順を追って説明いたします。
EGRによってNOxを含む排気ガスが空気とともにエンジンに取り込まれますが、空気中の酸素濃度が下がると燃焼温度は下がります。すると、PMが発生するのです。
EGRによってNOxの値は減りますが、それに伴う燃焼温度の低下により発生したPMもまた環境汚染の原因物質となります。そこで「DPF」と呼ばれる、PMを除去するための装置が備え付けられています。
DPFは「ディーゼル微粒子捕集フィルター」の略称であり、その名の通り環境汚染の原因となる排ガスをクリーンにするフィルターの役目を果たしています。近代のディーゼル車両では車のコンピューターがPMを自動的に検知し、溜まったPMをフィルター内で燃焼し排出するという動作を行いますが、DPFが作動している間は燃焼の為にこちらにも燃料を割くので、必然的に馬力が落ちます。DPFの回数や時間が増えるほど、パワーが無くなったと感じるようになります。
しかし、なぜDPFの回数が増えるのでしょう?
先ほどコンピューター制御で自動的にDPFが作動すると説明しましたが、とある条件下で作動しないことがあります。
以下、マツダの公式HPより抜粋いたします。
通常走行中はDPF で捕集されたPM は自動で除去されますが、次のようなときはPMが自動で除去されません。
● 車速約15km/h 以下で走り続けているとき
● 10 分以下の短時間走行の繰り返しやエンジンが暖機できないような走行を繰り返したとき
● 長時間アイドリング状態のとき
……つまり、普段の通勤や買い物、休日のドライブなどで頻繁に遭遇する「渋滞」や「ちょい乗り」状況では、DPFが正しく作動せず、PMが除去されないのです。
PMが除去されないとどうなるでしょうか。このPMを含んだ排ガスがEGR制御によりエンジン側へ戻され、エンジン手前のフレッシュエアと混合されるシャッターバルブ付近やインレットマニホールドに蓄積されていきます。PMが蓄積されていくと煤の塊となって吸入口をふさぐ為、吸入空気量が減っていき、燃焼効率も下がり、結果として燃費や馬力が落ちていくのです。
このような状態で、落ちた馬力を取り戻そうとサブコンなどを導入すると、酸素量が薄い中で燃料を多く噴射するため、不完全燃焼の量が増え、結果的に大量の煤の発生を招くこととなりうるのです。
⒋「EGR制限プレート」の効果
ではどうすればいいのか。ここで、そもそもの原因であったEGRで導入される排ガスの量をバランスよく調整することに着目しました。
EGR制限プレートはその名の通り、11mmもしくは9mmの穴を設け、エンジンの劣化具合によってユーザー自身で煤の発生の原因であるEGRの最大流量を制限できるよう調整が可能となっています。
これにより、空気に混合される排ガスの量が減るため、シリンダー内での燃焼時には相対的に酸素量が増えます。酸素量が増えることで燃焼温度が上がるため、PMの発生を抑えることができます。PMの発生量が減ることでDPFの回数が減るため、PM焼却に伴う馬力ロスが減ります。また、煤も溜まりにくくなるため吸入口をふさぐ問題も解決されます。
EGRの制限により排出されるNOxの量は確かに増えますが、車検適合内の微々たる変化であったことはこの数年で実証済みです。
新車購入時の保証が切れ、馬力低下や大きくなってきたエンジン音、振動に辟易してきたユーザーの方は、最後の手段として是非お試しください。
そしてディーゼルがもたらす本来のトルクフルな走行を今一度、心ゆくまでお楽しみください。
さいごに
EGRの機構はディーゼル車の環境問題のみならず燃費向上にも貢献している重要な機構であり、一概にEGRそのものが害であるというのは誤りです。新車時のコンディションの下では各制御の緻密なバランスによりその性能を存分に発揮できますが、10万kmも走れば経年劣化に伴ってバランスが崩れ、せっかくのEGRもマイナスとして働いてしまうのです。
このバランスを改めて取り持つことで、経年劣化により疲弊した車でも再びその性能を発揮することができます。
長年連れ添った愛車ですから、性能が悪くなったと一蹴りに見捨てることなく、愛着を持って再びドライブに出かけてください。
デミオ用1.5DのEGR制限プレートはないのですか?
お問い合わせありがとうございます。
1.5Dや1.8Dのディーゼルについては、EGRの仕組みが2.2Dと異なる為、
弊社では長期間にわたって実験できていません。
このため、現時点では販売していません。